出入国管理及び難民認定法の基礎知識についてまとめています。
入管業務のなかでも人に関する申請取り次ぎ業務で最もよく使う法律が「出入国管理及び難民認定法」(以下法という)です。この記事では、法の基礎知識についてまとめて、外国人のビザ関連業務をする上での法の理解を補助することを目的にしています
出入国管理及び難民認定法の目的。
出入国管理及び難民認定法はその目的について「本邦に入国しまたは本邦から出国するすべての人の出入国および本邦に在留するすべての外国人の在留の公正な管理を図るとともに難民の認定手続きを整理することを目的とする」(出入国管理及び難民認定法1条)と定めています。これをまとめると以下の3点になります。
出入国管理及び難民認定法の3つの目的
- 本邦に入国し又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理
*本邦外の地域は必ずしも外国に限られず未承認国やいずれの国の主権も及んでいない地域も含まれる。
- 本邦に在留するすべての外国人の在留の公正な管理
外国人とは日本の国籍を有しないものをいう。無国籍者も外国人
- 難民の認定手続きの整理
マクリーン判決における判例の立場
マクリーン判決を理解しておくことで、入管庁の立場を理解することができます。ここでは、法務大臣の裁量権の大きさを理解するとともに、入管庁職員の判断の基礎となる思考を理解することで、行政書士が入管業務を取り扱う意義を理解することができます。
- 憲法上外国人は我が国に入国する自由を保障されているものではない。
- 憲法上在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保証されているものでもない。
- 出入国管理令(現行入管法に相当)上も、在留外国人の在留期間の更新が権利として保障されているものではないことは明らかである。
- 在留期間の更新事由が概括的に規定され、その判断基準が特に定められていないのは更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広範なものとする趣旨からであると解される。
- 裁判所は法務大臣の右判断についてそれが違法となるかどうかを審理、判断するにあたっては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くことなどにより右判断が、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超えまたはその濫用があったものとして違法であるとすることができるものと解するのが、相当である
以上のように、太字部分は申請上の理由として重要なヒントとなります。
在留資格・在留期間に関する原則
- 在留資格とは外国人が本邦に在留して「一定の活動を行うことができる法的地位」(活動資格)又は「一定の身分もしくは地位を有するものとしての活動を行うことができる法的地位」(居住系資格)を言う。とされており、2つの資格について定めている。
- 本邦に在留する外国人は出入国管理及び難民認定法および他の法律に特別の規定がある場合を除き、それぞれ当該外国人に対する上陸許可、もしくは当該外国人の取得にかかる在留資格またはそれらの変更にかかる在留資格をもって在留するものと定められている(法第二条の二第一項)
- 在留期間とは法第二条の二第一項の外国人が在留することのできる期間をいう(法第二条の二第三項前段)
- 在留期間はそれぞれの在留資格ごとに法務省令(出入国管理及び難民認定法施行規則。以下規則という)において定められている(規則第三条規則別表第二)
- 本邦に適法に在留する外国人には一つの在留資格とこれに対応する一つの在留期間が定められている
- 在留資格の種類
在留資格は「活動資格」と「居住資格」の2つに分けられる。活動資格は法別表第1に記載のあるもので、「申請人が日本でどのような活動を行うか」が在留資格の許可、不許可を左右する重要な要素となっている。一方の居住資格は「日本において、どのような身分(子など)・地位(妻など)を有するか」が重要な要素となっている。
- 活動資格の分類
活動資格は、就労資格と非就労資格に分類できる。
就労資格とは、「収入を伴う事業を運営する活動」又は「報酬を受ける活動」を適法に行うことができる、という資格で、非就労資格はこれができない資格として分類されている。
- 居住資格を取得して在留している外国人は、就労活動について一切制限されていない。
- 在留資格の類型
| 活動資格 | 居住資格 | |
| 重要な要素 | どのような活動を行うか | どのような身分・地位か |
| 記載箇所 | 法別表第1 | 法別表第2 |
| 就労資格 | 第1-1 外交、公用、教授、芸術、宗教、報道 | 永住者 日本人の配偶者 永住者の配偶者 定住者 |
| 第1-2 高度専門職1号、2号 経営管理、法律・会計、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興業、技術、特定技能1号、2号 技能実習1号、2号、3号 | ||
| 非就労資格 | 第1-3 文化活動、短期滞在 | |
| 第1-4 留学、研修、家族滞在 | ||
| 個別的活動資格 | 第1-5 特定活動(告示特活、EPA介護等) |
行政書士が取り扱う主な在留諸申請
申請取り次ぎの7割程度が下記の申請になります。
①在留資格認定証明書交付申請
②在留期間更新許可申請
③在留資格変更許可申請
④永住許可申請
⑤在留資格取得許可申請
⑥資格外活動許可申請
⑦就労資格証明書交付申請
*②~⑦までは正規在留者に関する在留諸申請となります。
- 在留資格変更許可制度の基礎知識
在留する外国人は、在留資格の変更を申請することができます。
例えば、留学という在留資格で在留していた外国人が、就職が決まって企業で働く場合には、変更を申請する必要があります。
要件
法務大臣は、在留資格の変更を「適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り許可することができる。と記載されており相当の理由が必要となります。効果としては、新たな在留資格と在留期間が付与されることになります。
効果発生時期
- 在留カードの交付の時期
- 旅券に「新たな在留資格と在留期間」が記載された時
- 新たな在留資格と在留期間を記載した在留資格証明書を交付された時
- 交付済の在留資格証明書へ「新たな在留資格と期間」が記載された時
在留資格の名称が変更にならなくても許可申請を行う必要がある場合
- 「高度専門職」の場合は、法務大臣が指定する本邦の公私の機関の変更があった場合
- 「特定技能」の場合は、法務大臣が指定する本邦の公私の機関の変更か、特定分野の変更があった場合
- 「特定活動」の場合は、法務大臣が個別の外国人について特に指定する活動の変更があった場合
その他注意する点
- 「短期滞在」で在留するものには「やむを得ない特別の事情に基づくもの」でなければ許可されない。
- 「永住者」への変更を申請使用とするものは、永住許可を申請しなければならない。
以上のように在留者に対する申請は、法に対する知識が必要なため、行政書士などの専門職に依頼することをおすすめします。
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