はじめに
高齢者の一人暮らし世帯は増える傾向にあります。2022年度の厚生労働省の統計では、65歳以上の一人暮らし世帯は873万世帯(2013年は573万世帯)となっており、今後も増加する傾向です。
一人暮らしの方が、病気で入院した場合や、認知症を発症してしまった場合に、毎月の支払いなどの財産の管理は、どうしたらいいのだろうか?また、自分が亡くなった後の財産配分、葬儀、供養のことなどについて自分の意思を残しておく方法はないのだろうか?などの不安や疑問が残ることもあると思われます。
このような場合に、自分の財産や配分先については「遺言書」で指定しておくと同時に「委任契約」「任意後見契約」「死後事務委任契約」をしておくことで、不安な部分を少なくすることができます。
これらの契約により、一人暮らしの方が支援者(*)にサポートしてもらったり、亡くなった後の自分の意思を実現してもらったりすることが可能となります。 *支援者とは受任者、成年後見人、相続人、遺言執行者のこと
この記事では、それぞれの契約書の意味と、注意点、作成手順について解説しています。
1, 委任契約
2, 任意後見契約
3, 死後事務委任契約
4, 遺言書
委任契約とは
例えば、一人暮らしの方が、けがや病気で入院した場合に、毎月の支払いや、新たな契約、銀行の引き落とし処理等を自分の代わりに誰かに委任して、代行してもらう契約のことです。
自身の判断能力はあっても、実際の行動ができない、またはしにくい場合の契約として有効です。
作成手順
① 受任者を決める。
受任者(自分の代わりに財産管理などしてもらう人)は、信頼のおける人に依頼して、事前にその内容や報酬などについて合意しておくことが大切です。
② 受任者に代理権を付与する。
自分の代わりに事務処理をしてもらうために、自分が持っている権限を与えることを契約書に記入します。
③ 委任する範囲を指定する。
受任者にどこまでの範囲を任せるのかを、目録として記載します。
④ その他、受任者の報酬や受任者から委任者に対する報告義務などを記載します。
*契約書は公正証書によって作成し、公証役場に保管される。
任意後見契約とは
将来、認知症などで自分の判断能力が不十分になったときに備えて、援助してもらう人と援助してもらう内容を事前に決めておく契約のことです。
「成年後見人」が本人の代わりに銀行の手続きや財産管理の事務手続きを行います。
作成手順
① 成年後見人を事前に選んでおく。
② 認知症発症後など判断能力が不十分になった場合には、家庭裁判所に後見開始の審判を請求して成年後見人が選任される(注1)。 これにより後見が開始されるので任意後見契約の効力が発生します。
③ 代理権付与の委任状を締結する。
④ 委任する範囲の目録を作成する。
⑤ 成年後見人の報酬、報告義務などを記載する。
*契約書は公正証書によって作成し、公証役場に保管される。
注1:任意後見契約は、任意後見監督人が選任されたと時から効力が発生する。又、後見開始の請求は、本人、配偶者、4親等内の親族などによってすることができる。
死後事務委任契約とは
自分が亡くなった後の葬儀や供養、行政手続き、病院や介護施設などの精算などの事務手続きを誰かにお願いしておく契約です。
作成手順
① 死後事務を委任する人を決める。
事前に自分の希望を伝えて、契約書の内容についても合意しておきます。
② 委任する範囲を決めておく。
葬儀、納骨、供養、その他の事務などの契約内容について合意しておきます。
③ 受任者の報酬、事務処理にかかる実費について記載しておく。
*契約書は公正証書によって作成し、公証役場に保管される。
遺言書
遺言者の財産をどのように、誰に分配するかを記載しておきます。
作成方法
① 相続人を調査して特定する。
② 財産調査をしてすべての財産額を把握する。
③ どの財産をだれに分配するかを決める。
④ 遺言執行者(遺言を確実に実施する人)を決めて、記載しておく。
⑤ 作成の報酬について確認し、記載する。
*遺言書は公正証書によって作成し、原本は公証役場に保管される。
当事務所では、契約書の作成や遺言書の記入方法についてご相談を受けております。
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